KANOE
荷物の箱を囲んで確認する二人

インタビュー営業と集客ブランディング会員の声 第5回

注文通知が鳴るほど、利益が逃げていく

オンラインショップを公開しても、注文が入るほど発送現場が混乱しました。通知が鳴るたびに喜んでいたはずの作り手が、画面を見てため息をつくようになりました。

この記事は、サイト構築時のサンプルです。実在の取材に基づくものではありません。

注文通知が怖くなる

オンラインショップを公開しても、注文が入るほど発送現場が混乱しました。通知が鳴るたびに喜んでいたはずの作り手が、画面を見てため息をつくようになりました。

私たちは二人でECの運営を支援しています。写真やデザインは制作パートナーと組みます。当時は、商品の魅力を分かりやすく見せ、購入まで迷わず進めるページを作ることが中心でした。

購入後の確認、在庫、梱包、問い合わせ。その流れも聞いてはいましたが、店を動かす側の仕事として考えていました。けれど、私たちが作った画面で注文を受けている以上、その画面の約束は現場を動かします。売れるページと、売れた後の作業を分けていたことが、負担を増やしていました。

発送の机には、未完成の箱と、確認待ちの注文が並んでいました。どちらも一見すると作業中に見えますが、止まっている理由は違います。私は売上の画面だけを見て、何を手伝えば現場が進むのかを判断できていませんでした。

作り手の月曜日

作り手から「月曜は製造で、発送はできないんです」と聞いたとき、初めて一週間の予定を見せてもらいました。少人数で製造も店頭販売も行っており、毎日同じ数を梱包できるわけではありませんでした。

ページには、早く届く印象を持たせる案内を置いていました。早く届けたい気持ちは、作り手にもあります。でも、月曜の注文をすぐ発送するには、製造を中断する必要がある。その影響が、次の商品や店頭の準備へ回っていました。

私は配送の担当者にも、いつまでに何をそろえる必要があるか聞きました。集荷の時間から逆算すると、梱包だけでなく、伝票や確認の作業もあります。購入ボタンの後には、画面に写っていない一日の仕事がありました。作り手の月曜日を知らずに、納期を伝えていたのです。

月曜日に何をやめれば発送できるか、と考えるのではなく、製造を守りながらいつ発送できるかを聞き直しました。オンラインの約束に現場を無理に合わせるより、実際の予定を分かる形で伝える方が、長く続けられると考えました。

買った後の工程を見る

三か月の注文を時間帯別に整理し、売上と作業時間を並べました。売上が最大の日は、梱包時間も通常の二・三倍になっていました。その翌日の問い合わせ返信は、平均して一日遅れていました。

この店の限られた記録なので、注文が増えれば必ずそうなるとは言えません。ただ、売上が大きい日の負担を、広告の費用だけでは見られないことは分かりました。箱を探す、送り先を確認する、個別の希望を読み直す。細かな作業が積み重なっていました。

そこで、材料や送料だけでなく、受注後の工数も採算を考える表へ入れました。時間はそのまま金額から引かず、比較するための労務コストを置いて見ます。会計上の利益とは分け、どの注文の受け方なら現場に無理がないかを考える材料にしました。

商品数を減らして売る

次の販売は、商品数を絞りました。注文の選択肢が多いほど親切だと思っていましたが、箱の種類や組み合わせが増えると、確認する時間も増えます。

まず、無理なく梱包できる組み合わせと発送日を決め、受け付ける上限数を明らかにしました。「いつでも何でも買える店」に見せるより、その時に届けられる約束を守る形です。作り手は、選択肢を減らすとお客様が離れるのではと心配していました。

カメラマンとデザイナーには、商品の魅力に加えて、セットの内容や大きさが分かる見せ方を相談しました。説明不足を問い合わせで埋めないようにしたかったのです。売れ方を小さくするのではなく、注文を受けた後まで成り立つ販売を、一回ずつ確かめていきました。

セットを絞る際には、実際に一箱を組んでみました。商品を並べた写真では分からない、収まり方や確認のしにくさが見えます。デザインの担当者もその場を見ることで、説明図へ何を足せばよいかを具体的に考えられました。

キャンペーンの失敗

以前のキャンペーンでは、注文を急に増やし、連絡が遅れたことがあります。作り手が梱包に追われている間、私は次の告知を準備していました。別々の仕事を進めているつもりで、同じ現場へ負担を足していました。

それからは、販売前に在庫、発送予定、返品などの案内、個人情報の扱いを確認します。予定外の注文や障害があったとき、誰が何を伝え、どこで受付を止めるかも決めました。

告知を出す直前には、作り手と発送側が受けられる状態かを確認します。販売の担当が目標を達成しても、他の人が夜中まで働かなければ成立しない計画なら見直します。仲間で役割を分けることは、負担を見なくてよくなることではありませんでした。

止める担当を決めるとき、売上を減らす判断を一人へ押し付けないことも話しました。どんな状態になったら受付を見直すかを、先に共有します。現場が限界を言い出してから、気合いで乗り切る相談をする形には戻したくありませんでした。

運用を見せる営業

新しい相談では、きれいに作ったショップだけを見せることは減りました。注文から発送まで、誰がどの作業をするかを一緒に聞きます。

最初からすべてを代行する提案にせず、現状の整理、小さな販売、結果の振り返りに分けました。写真やデザイン、運用の各担当にも、どこまで引き受けるかを確認します。試す範囲と料金を明らかにし、作り手が自分で行う作業も見えるようにしました。

売上を伸ばす相談なのに、発送の話ばかりだと思われることもあります。そんなときは、以前どこで止まったのかを聞きます。買ってもらうまでの問題と、届けるまでの問題はつながっています。困りごとを具体的に話せる方が、作業の分担も見積りも合いやすくなりました。

受注の確認に使う一覧も、発送担当が実際に読む順番へ並べ替えました。画面を作る側の管理しやすさより、見落とさずに箱を作れるかを一緒に確認しました。

再販を待つ人の声

販売を小さく試した結果、作り手が無理なく発送できる数が見えてきました。すべてを一度で売り切るのではなく、次の販売日を案内できるようになりました。

お客様からは、再販を待つ声が届きました。待ってもらえることを当然とは考えず、いつ、何を知らせるかを整えます。予定が変わる場合も、分かった時点で説明します。何も分からないまま待たせることと、予定を共有して待ってもらうことは違いました。

売上だけでなく、梱包にかかった時間や問い合わせも振り返ります。商品数を絞っても、分かりにくい案内が残れば負担は減りません。作り手から使いにくさを聞き、デザイナーや配送の人へ必要な修正を戻す。ページと現場が、ようやく同じ販売の話をするようになりました。

再販の予定が見えると、撮影や告知を頼む時期も決めやすくなりました。急ぎの注文に追われて、次の販売まで急いで作る流れが少し緩みます。受注後の整理が、販売前の準備へも返ってきました。

売れた後までがEC

注文通知は、今でもうれしいものです。ただ、その音が売上だけを知らせるものではなくなりました。この注文を、どんな手間と約束で届けるのか。その先まで見えるようになりました。

画面を良くする人、商品を作る人、届ける人が、それぞれ自分の仕事だけを最適にしても、全体は回らないことがあります。忙しい月曜日を見せてもらい、現場の人へ聞くことで、私たちは初めて販売の全体を考えられました。

今は売るページと、売れた後の現場を一つの仕組みとして整えています。これからECを始める方も、運用に疲れている方もご相談いただけます。注文はあるのに余裕がなくなっている場合は、まず購入後の一件を、一緒に追うところから始めています。

この事業が生まれた三つの条件

顧客理解:購入ボタンの後に、誰がいつ何をするかまで成立しているか。

小さな実証:商品数を絞り、発送日と上限数を明確にした小さな販売から始めました。

仕事の境界:在庫、納期、返品、個人情報、障害時の案内を販売前に確認します。