KANOE
食材が並ぶ厨房で打ち合わせをする二人

ケース営業と集客ブランディング会員の声 第2回

売上三位の出店場所が、いちばん儲かった

人の多い場所へ出店しても、仕込みと移動で利益が残らない日がありました。私はフードトラックを一人で動かし、忙しいときだけスタッフに手伝ってもらっています。

この記事は、サイト構築時のサンプルです。実在の取材に基づくものではありません。

人通りと利益は別だった

人の多い場所へ出店しても、仕込みと移動で利益が残らない日がありました。私はフードトラックを一人で動かし、忙しいときだけスタッフに手伝ってもらっています。

売上がよかった日は、たしかにうれしい。でも、片付けを終えて帰ると、次の仕込みが待っています。遠い会場なら移動も長く、売れた数だけを見ると良い一日でも、手元に残るものを考えると、素直に喜べないことがありました。

それでも私は、人通りの多さで出店先を選んでいました。売れる可能性を逃したくなくて、メニューも多めに用意します。結果、売れ残りを減らそうと最後まで待ち、帰る時間が遅くなる。忙しいことを、商売が伸びている証拠にしたかったのかもしれません。

大きな会場では、売り切れを避けるために多めに仕込み、残った分をどうするかで帰宅後まで頭を使っていました。売上の良かった時間だけを切り取ると見えない仕事です。翌日も店を動かす私には、そこまで含めた一日が必要でした。

造園の現場から来た昼食相談

造園の仕事をしている人から、現場近くで昼食に困っていると聞きました。歩いて行ける店が少なく、休憩の時間も長くは取れないそうです。

「仕事場へ来てもらうことはできますか」。そう聞かれて、最初は人数の少なさが気になりました。大きなイベントのようには売れないだろうと思ったのです。でも、何人くらい、何時に食べたいのかを聞くと、これまでの出店とは違う条件が見えてきました。

必要な数を先に聞ける。来る理由がはっきりしている。移動と提供の時間も合わせやすい。私は、偶然前を通る人を待つ場所ではなく、食事を必要としている人の予定へ行く出店を試すことにしました。場所を紹介してもらった以上に、そこで働く人の一日を教えてもらえたことが大きかったです。

造園の人が教えてくれたのは、人数だけではありません。休憩がずれる日があること、近くへ買いに出ると時間がかかること。その事情を聞くと、人通りが少ない場所に、食事を届ける意味があると分かりました。

呼ばれる場所へ行く

最初の出店は、一回だけ試して、その後を相談する形にしました。現場の人数や休憩の時間を確認し、予約の目安を聞きます。常設の店のように、毎日同じ条件で営業できるわけではありません。

提供してみると、短い時間に集中する難しさはありました。それでも、何を何食くらい用意するかを先に考えられたので、必要以上に種類を増やさずに済みました。食べた人から、量や受け取り方について直接、感想も聞けました。

出店場所を貸してもらえることに甘えず、現場の仕事を邪魔していないかも確認します。車を置けることだけで決めず、人の動きや片付けまで見ます。食事を届ける側の都合と、働いている人の休憩が合うかを、その一日で確かめました。

出店後には、受け渡しが現場の動きを止めなかったかも聞きました。料理を売り切れたとしても、休憩が短くなれば次は頼みにくくなります。売る側の記録だけでなく、呼んだ側の一日がどうだったかを確かめました。

メニューを減らす決断

メニューを減らすのは不安でした。選べる方が喜ばれると思っていたからです。でも、限られた時間に受け渡す場所では、選択肢の多さが待ち時間につながる場合もありました。

まず出しやすい料理へ絞り、材料の準備と盛り付けをそろえました。苦手なものなどをどう事前に確認するかも相談します。その場で何でも変えられるとは案内せず、対応できる範囲を伝えました。

食材については、付き合いのある農家へも予定を聞きました。急に大量に頼むのではなく、次の出店で使う分を相談します。売る側が無駄を減らしたいなら、仕入れる相手の仕事も見ないと続きません。小さな出店の方が、周りの人と具体的な予定を話しやすいと感じました。

農家には、使える量だけでなく、無理に合わせてもらっていないかも聞きます。こちらの予約が見えると相談しやすい一方、予定は変わることもあります。変更が分かったときは早く伝える。小さなことですが、その往復が次の仕入れを楽にしてくれました。

出店先の好意に甘えない

以前、出店先の好意に甘え、電源やごみ処理の確認が遅れたことがあります。「来ていいですよ」と言われたことを、必要な条件もそろっているという意味にしていました。

今は、必要な営業許可等について確認し、場所代、設備、衛生、ごみ、天候による中止の扱いを事前に話します。相手が用意するものと、自分が持ち込むものを分けます。紹介者がいる場合も、実際に場所を管理する人へ確認します。

初めての場所では、売上の見込みだけでなく、準備と片付けの手間も記録します。手伝いのスタッフに来てもらうなら、作業内容と時間も先に決めます。誰かがついでに助けてくれる前提では、次回も同じようにはできません。続けるために、親切と営業の条件を分けるようになりました。

中止を判断する連絡先も、出店前にそろえました。天候が変わってから、誰に聞くかを探す状態は避けたかったのです。

通行量を売り文句にしない

十二回の出店について、売上と直接かかった費用、移動・仕込み・営業・片付けの時間を並べました。そこで、売上三位だった小さな現場が、時間当たりでは最もよく残っていると分かりました。

ここで「いちばん儲かった」と呼んでいるのは、売上総額ではなく、この十二回で比較した自分の時間当たりの採算です。食材や場所代、移動の費用などを引いた残りを、準備から片付けまでの時間で割りました。自分の時間をただの無料の労働にしないための見方でした。

比較した条件は毎回同じではありません。天候や人数、場所も違います。それでも、大きな売上の場所ほど良いという思い込みは崩れました。待ち続ける時間と売れ残りが少ない出店なら、無理なく終えた後に、次の準備へ余力を残せることが見えてきました。

記録を取る前は、移動の長さを商売の経費ではなく、自分の頑張りとして片付けていました。でも、その時間に別の準備はできません。同じ一時間を使う仕事として並べることで、売上三位の場所を選ぶ理由が、自分にも説明できるようになりました。

翌月も同じ顔に会う

同じ現場から翌月も声がかかりました。食べに来る人の顔を覚え、向こうも私を覚えてくれるようになりました。前の月の感想から、次に用意する内容を少し変えられます。

その話をイベント運営者や近隣の店舗にもすると、別の小さな出店の相談が来ました。人をたくさん集める話ではなく、既に働いている人へ、いつ食事を届けられるかという相談です。

私はどこへでも行けるとは言わず、人数、移動、提供の時間が合うかを確認します。造園の人に紹介してもらった場所がうまくいったからと、全部を同じ条件にしません。協力する相手がいることで、出店先を増やすだけでなく、合わない出店を早く見分けることもできるようになりました。

続く一日を組み立てる

人が多い場所を、もう選ばないというわけではありません。多くの人に料理を知ってもらえる機会も大切です。ただ、にぎわいだけを見て、一日の仕事を決めなくなりました。

仕込み、移動、待つ時間、片付け。その全部を含めて続けられるかを考えます。造園の現場から来た昼食の相談は、私の商売を別の角度から見せてくれました。人脈が役立ったというより、その人の仕事を聞いたことで、自分の届け方が変わったのだと思います。

今は街の仕事場や催しへ、無理なく続く形で食事を届けています。人数や場所が未定でも、出店条件から一緒に確認できます。大きなイベントでなくても、昼食に困っている場所があれば、その一日の予定からお話ししています。

この事業が生まれた三つの条件

顧客理解:売上だけでなく、移動、仕込み、待ち時間を含めて続けられる一日か。

小さな実証:予約数を事前に聞き、メニューを絞った定期出店を試しました。

仕事の境界:営業許可等を確認し、場所代、設備、天候中止、衛生、ごみの扱いを事前に決めます。