KANOE
植物のある店内で手入れについて話す二人

ケース営業と集客仕組み化会員の声 第17回

三年後から逆算する庭づくり

完成直後は喜ばれた庭が、一年後には手に負えないと言われました。電話をくださった方は、庭が嫌いになったわけではありません。「見るのは好きなんですが、休みの日が全部、手入れになってしまって」と、申し訳なさそうに話しました。

この記事は、サイト構築時のサンプルです。実在の取材に基づくものではありません。

一年後の庭から来た電話

完成直後は喜ばれた庭が、一年後には手に負えないと言われました。電話をくださった方は、庭が嫌いになったわけではありません。「見るのは好きなんですが、休みの日が全部、手入れになってしまって」と、申し訳なさそうに話しました。

私たちは二人で庭の仕事をしています。必要に応じて地域の職人にも協力してもらいます。以前は完成した日の景色をどう良くするかに気持ちが向いていました。好きな樹木や花を聞き、季節が楽しめるように配置する。それで喜んでもらえれば、良い提案だと思っていました。

訪ねてみると、植えたものは育っていました。ただ、その間を手入れする人の暮らしが、図面から抜けていたのです。きれいに育つことと、無理なく付き合えることは同じではありません。私は完成写真に写らない一年を、依頼主へ預けたままにしていました。

同業者の失敗談に重なったこと

この話をハウスクリーニングの事業者にすると、「室内でもありますよ」と返ってきました。気に入って置いた家具が、毎日の掃除では動かしにくい。見た目を決めるときに、維持する手間は後回しになりやすいというのです。

彼が聞くのは、理想の状態だけでなく、普段どれくらい掃除に時間を使えるかだそうです。忙しい週にもできることと、たまに人へ頼みたいことを分ける。私はそれを聞きながら、庭の説明では「こまめに手入れを」と簡単に言っていたことを思い出しました。

こまめに、とはどのくらいなのか。仕事から帰った後なのか、休日なのか。人によって違う言葉で、負担を曖昧にしていたのだと思います。同業者から植栽の知識を学ぶことはあっても、暮らしの時間の聞き方は、別の仕事をする人から教わりました。

三年後の手入れを描く

次の相談では、好きな景色と一緒に、三年後の暮らしを聞きました。子どもの予定が変わるかもしれない。家族の仕事が忙しくなるかもしれない。予想どおりになるとは限りませんが、完成した日にできることが、ずっと続く前提は置かないようにしました。

水やり、落ち葉、剪定など、季節ごとの手入れを整理し、負担の違う三つの案を見せました。どれが上等かではなく、どこまで自分で関われるかを選ぶためです。工事費だけでは決められなかった違いが、少し具体的になりました。

最初から庭全体を変えず、小さな区画から植え替えを試しました。翌週には使いにくいところを聞き、その後も季節の変わり目に確認します。植物の育ち方を見る時間と、生活の中で手入れできるかを見る時間は違います。早く結論を出しすぎないことも、今回の進め方に含めました。

手入れの話をすると、家族の中でも希望が違うと分かりました。花を楽しみたい人と、落ち葉の片付けをする人が別だったのです。好きな景色だけを多数決で決めず、誰がどこを担うかまで聞くようになりました。

植えない選択も提案する

提案の中には、植えない場所も残しました。以前なら、空いている部分をどう魅力的に埋めるか考えていたと思います。でも、何も植えていない場所があるから、道具を持って通りやすくなることもあります。

依頼主は、最初は少し寂しそうでした。そこで、空間が余っているのではなく、今後の手入れと変化のために残していることを説明しました。後から足したくなったら、そのときの暮らしに合わせて考えればよい。完成の時点ですべてを決める必要はありません。

植えたいものを断るのではなく、どこへ置くと管理しやすいかを一緒に考える。清掃の事業者にも、外から室内へ土や落ち葉を持ち込みやすい動きがないか意見を聞きました。庭だけを見ていた私とは違う視点が入り、家と庭を分けずに考えられるようになりました。

余白を残した案を見ながら、依頼主は「まず、ここまでならできそうです」と言いました。全部そろった完成図より、自分が関われる範囲の見える図の方が、暮らしへ置きやすかったようです。

外構と樹木の専門を分ける

庭の相談には、私たちだけで判断しない方がよいこともあります。外構の工事、樹木の状態、日常の清掃。それぞれ得意な人に相談できるようにしました。

外構職人には通り道や施工の条件を、樹木医には専門的な確認が必要な木のことを聞きます。すべての案件に全員を呼ぶわけではありません。何を確認したくて、その人へ頼むのかを依頼主に説明します。誰に任せてよいか分からないまま、関係者だけが増える形にはしませんでした。

最初に試した小さな区画でも、作業範囲、期間、費用、振り返る時期を決めました。知り合いの紹介だからと、後から仕事を増やすことは避けます。連携を長く続けるには、頼みやすさだけでなく、無理なことを言える関係も必要でした。専門を分けたことで、庭師として引き受ける責任も、前よりはっきりしました。

完成写真に頼らない営業

頼まれるまま樹木を増やし、年間の管理費の説明が後になったことがあります。完成した庭を気に入ってもらっただけに、後から費用を話すのは気まずいものでした。依頼主も、その金額を見てからなら別の選択をしたかもしれません。

それからは、工事費と年間の管理を分けて提示しています。自分で行うこと、人へ頼むこと、状態を見て判断することも分けます。薬剤を使うか、木を減らすかといった話も、先に結論だけを出さず、理由と選択肢を説明します。

営業資料に完成写真だけを並べることも減りました。どんな手入れを想定して作ったか、その後どう使われているかを添えます。華やかさでは他の事例に負ける庭でも、依頼主が続けられている理由には、その庭にしかない価値がありました。写真の外を話せることが、相談の入口になりました。

季節の写真が届くまで

季節が変わった頃、依頼主から庭の写真が届きました。花が咲いた報告と一緒に、「この部分は自分で整えられました」と書いてありました。私たちの作業を待つだけではなく、自分で付き合える庭になり始めていました。

もちろん、全部を自分でできる必要はありません。忙しい月は無理をせず、相談してもらいます。むしろ、どこまでなら自分ででき、どこから頼みたいかを言えるようになったことを大切にしています。

初めに電話をくださった方にも、管理の範囲を見直してもらいました。手間を減らすために諦めた植物もあります。でも、「庭を眺める時間が戻ってきた」と聞きました。増えた花の数より、その言葉が残っています。暮らしの時間を知る人たちと話したことが、私たちの庭づくりを変えてくれました。

届いた写真に写っていたのは、庭だけではありませんでした。椅子を一脚出し、そこで過ごしている様子もありました。手入れを減らすことが目的だったのではなく、庭で過ごしたかった時間を取り戻すためだったと、改めて分かりました。

育つ庭を仕事にする

三年後から逆算するといっても、未来の庭を正確に約束できるわけではありません。植物も暮らしも変わります。だから、一度決めた形を守り続けるより、その変化を相談できる余地を残したいと思っています。

庭は完成した写真の中だけにあるのではなく、その家の毎日の中にあります。手入れのために休日を使うのが楽しみな人もいれば、少し離れて眺めたい人もいる。どちらかが庭を大切にしていないわけではありません。その違いを聞けるようになったことが、私たちの一番大きな変化です。

今は完成時の華やかさと、その後の続けやすさを一緒に設計しています。小さな庭、店舗前、空き家の管理まで、困っている場面からお聞きしています。増やしたいという相談も、少し手間を減らしたいという相談も、同じように大切にしています。

似た悩みがある人へのメモ

顧客理解:好きな景色だけでなく、水やり、落ち葉、剪定、将来の体力まで想像できているか。

小さな実証:季節ごとの手入れ量を三段階で示し、小さな区画から植え替えました。

仕事の境界:工事費と年間管理を分け、薬剤や伐採の判断は理由と選択肢を示します。