KANOE
本棚のある店内で向き合って話す二人

ケース営業と集客信用会員の声 第8回

応募四十六件。その中に、会いたい人はいるか

求人広告の応募数は増えたのに、面接で話が合わないことが続きました。私たちは二人で採用の情報整理や伝え方を支援しています。当時は、募集を見てもらい、応募へ進む人を増やすことに力を入れていました。

この記事は、サイト構築時のサンプルです。実在の取材に基づくものではありません。

応募数は増えたのに

求人広告の応募数は増えたのに、面接で話が合わないことが続きました。私たちは二人で採用の情報整理や伝え方を支援しています。当時は、募集を見てもらい、応募へ進む人を増やすことに力を入れていました。

支援先の一社では、応募四十六件、面接十二件、内定三件という記録が残りました。数字だけなら、一定の反応があったと言えます。でも、面接を担当した経営者は「忙しくなったけれど、仕事の話がかみ合わない」と言いました。

条件を魅力的に見せようとして、仕事の難しい部分を薄くしていたのだと思います。応募する人が悪いわけでも、会社が高望みしていると決められるわけでもありません。同じ仕事の話をしているはずなのに、互いの頭に違う一日が浮かんでいました。

社員の一言が求人を変える

そこで、応募から選考までの間に辞退した人の理由も、聞ける範囲で振り返りました。四人が「実際の一日を想像できない」と答えていました。人数が限られるので、全員の辞退理由とは言えません。それでも、募集の内容を見直す手がかりにはなりました。

現場の社員にも話を聞くと、「入る前に、忙しい日の様子を知りたかった」と言われました。求人には担当業務が書かれている。でも、それをどんな順序で行い、急な対応が入ると何が変わるかは分からなかったそうです。

私たちは仕事内容の情報が足りないと思い、項目を増やしかけました。でも、問題は量だけではありません。「顧客対応」という四文字の中で、実際に何をしているかを見せる必要がありました。現場の一言で、求人の書き方を考える場所が、管理画面から職場の一日へ移りました。

辞退した人の言葉は、説得して引き留めるためには使いませんでした。本人が話せる範囲で聞き、答えない選択も尊重します。都合のよい理由だけを集めず、伝わっていなかったことを見直す資料として扱いました。

忙しい日を隠さない

忙しい日の話を載せることに、経営者は戸惑っていました。大変そうに見えて応募が減るのではないか。その心配はもっともです。私も、数字で成果を報告してきた以上、簡単には本数や件数を手放せませんでした。

ただ、苦労を強調するために見せたいのではありません。何が忙しく、誰がどう助け、最初の人に何を任せるのかを伝えたかったのです。忙しさだけを見せても、本人が判断する材料としては足りません。

一日の流れ、最初の一週間、まだ任せない仕事を整理しました。急な依頼が来たときの相談先や、慣れるまでに確認する場面も書きます。経営者が話す期待と、社員が経験している実態を並べ、ずれている部分は原稿にする前に確認しました。見せ方の工夫だけで埋めないことが大切でした。

社員の説明には、忙しい時に声をかけ合う場面もありました。大変さを薄めるためではなく、実際にどう進めているかとして載せました。良いところと難しいところを別々の宣伝材料にせず、同じ一日の中で伝えるようにしました。

会わない判断も成果

情報を具体的にすると、応募前に「自分の希望とは違う」と判断する人も出ます。それを全部、採用の失敗と見ないようにしました。

会社にとっても候補者にとっても、面接へ進むことには時間がかかります。会ってから初めて分かる違いを、先に分かる範囲で減らす。そのうえで、話してみたい人が納得して選考へ進めるようにする。人数を増やすだけとは違う目的です。

もちろん、応募が減れば何でもよいわけではありません。伝え方が狭すぎないか、分かりにくい表現で遠ざけていないかも見ます。仕事内容に関係する条件と、会社側の曖昧な好みを混ぜないようにしました。「会いたい人」を、経営者に似た人という意味にはしたくありません。互いの約束を話せる人に会うための募集です。

撮影と制度の確認を分ける

カメラマン、ライター、社労士には、それぞれ違う確認をお願いしました。写真が自然か、文章が伝わるか、制度や条件の説明が実態と合っているか。一人に全部を任せません。

撮影でも、笑顔の集合写真だけでなく、仕事を教える場面や、相談しながら進める様子を見せられないか考えました。ただし、忙しい現場を無理に撮影用へ変えることは避け、本人の意向や公開の範囲を確認します。

ライターには社員の言葉を残してもらい、条件の説明は別に確かめます。印象のよい表現に直したことで、約束の内容まで変わらないようにしました。関係者が増えるほど確認が長引かないよう、最後に判断する人も決めます。協力してもらうのは、見栄えをよくするためだけではなく、違う角度から誤解を減らすためでした。

写真に出る社員にも、どう使うかを先に伝えました。採用への協力を、断れない役割にしないようにしました。

採用数を売り文句にしない

支援の相談でも、採用人数の実績だけを長く話さなくなりました。今、どの段階ですれ違っているかを聞きます。応募前なのか、面接なのか、入社後なのか。困っている場所が違えば、変える資料も違います。

最初は一職種の情報整理に絞り、取材、原稿、確認、振り返りの範囲を見積もりました。採用できる人数を約束するのではなく、何を整え、どの声をもとに見直すかを説明します。

似た相談を持つ三人にも話を聞きました。経営者が自分で伝えたい会社と、現場の情報が経営者へ届いていない会社では進め方が違います。広告を増やす前に必要な仕事が見つかることもありました。私たちの役割は、応募を集める手段を増やすことから、会う前の認識をそろえることへ広がっていきました。

応募が集まらない会社と、応募はあるのに会話が合わない会社では、同じ改善を売れません。私たちの得意な整理が必要かどうかも、最初に確認します。支援を断る場合でも、どこを先に見た方がよいかは、分かる範囲で伝えるようになりました。

質問が具体的になる面接

原稿を見直した後、面接で具体的な質問が増えたと聞きました。「最初の一週間は誰と動きますか」「急ぎの対応が重なったら、どう相談しますか」。漠然と働けそうかを確かめる面接から、実際の仕事をすり合わせる会話になっていました。

会社側も、期待だけでなく、今できる支援を説明しやすくなったそうです。現時点では約束できないことは、その場で伝える。双方が断りやすくなるのも、情報を具体的にした結果の一つでした。

それが定着へどれほどつながったかは、短期の数字だけでは判断しません。選考を辞退した理由や、入社後に違いを感じた点も継続して聞きます。良い反応だけを実績にせず、残ったずれを次の募集へ戻す。そのやり取りを続けられる関係が、私たちには大事でした。

経営者は、面接の後に「聞かれたことに答えながら、自分たちも仕事を整理できた」と話しました。採用の資料は、外から人を呼ぶためだけではなく、会社が何を約束できるかを確かめる材料にもなっていました。

互いに選べる採用へ

応募四十六件という数字は、今でも記録に残っています。ただ、その数だけで募集が良かったかを決めなくなりました。応募した人が、何を知り、何を期待して来たのか。会社は、どこまで具体的に答えられたのか。そこまで見るようになりました。

社員、撮影者、ライター、社労士の視点が入ることで、経営者の説明だけでは見えない仕事が表に出ます。人を集める技術だけでは、埋まらなかったずれでした。仲間と組む意味が、募集の前後にありました。

今は人数の少ない会社ほど大切な、誇張しない採用コミュニケーションを支えています。初めての採用や、紹介頼みから変えたいときにご相談いただけます。応募は来ているのに、面接で仕事の話がかみ合わない。そんな状態からも、一緒に見直しています。

似た悩みがある人へのメモ

顧客理解:会社が欲しい人ではなく、その仕事で互いに約束できることは何か。

小さな実証:一日の流れ、最初の一週間、任せない仕事まで求人票と面接資料にしました。

仕事の境界:採用数だけを成果にせず、選考辞退や入社後の声も依頼主と振り返ります。